癒し

癒し(いやし)、ヒーリング (healing) とは、心理的な安心感を与える事。またはそれを与える能力を持つ存在の属性である。

癒しは元々、宗教学や宗教人類学で、未開社会の暮らしを続ける人々の間で呪術医が、病に陥った人を治す悪魔祓いの行為についていったものだという。上田紀行の『覚醒のネットーワーク』(かたつむり社 1990年)で、セイロンの悪魔祓いに ついての言及の中で使用されたのが、この言葉の今日のような用法での最初だという。こちらの意味では、なんらかの原因で、地域社会や共同体から、孤立して しまった人を再び、みんなの中に仲間として迎え入れること、そのための音楽や劇、踊りを交えて、霊的なネットワークのつながりを再構築すること、これこそ が癒しだという。

現在では、そうした言葉の出自が及びもつかないくらいの多様で、曖昧な用い方をされている。その用法のあらましを鑑みるに、ストレスやうつ病傾 向など、過度の緊張や慢性的な心的疲労を蓄積させている人に、さまざまな手法で、一時的、あるいは中短期的なストレス軽減のための手段を提供する行為、ま た手段、そのためのアイテムのさまざまなものを総称して、癒し、癒しグッズという言い方をしている。こちらでも、自分を取り戻す、自分の居場所、自分が拠 り所とみなす人々の元にあることは同様の重要性を持っている。

癒しの持つ力は心身ともに持続的・恒久的・継続的な安らぎの効果をもたらす。過激さの持つ力は、瞬間的・一時的なもので、しかも往々にして強い心的刺激を伴うので心身に悪影響を及ぼす可能性がある。

人間には心身ともに癒し要素を持つものが本質的には受け入れられる。特に心身にストレスがたまっている場合などは過激さは不適切である。バブル時代 は白熱した刺激が好まれる傾向もあったが、バブル崩壊後、社会が不安になってくると過激な刺激はよどみ嫌われた。元々、過激さには人体危険が伴うのが常で あり、それを求める傾向は一種の自虐行動である。心理学的に人間が本質的に求めているのは安らぎと平穏であり、もともと人間は攻撃的な要素を好まない。も しくは極力避けることで自己防衛を図る生き物なので、癒しを求めることを攻撃的要素を避ける意味でも非常に大きな意味を持つと本能的に知っている故の現象 である。